こんな一年やだ

takino132006-04-08

  • 胃血月(1月)

正月の不摂生、長期休暇で溜まりまくった仕事。
胃に血が空くのも当たり前。
これを胃血月と呼ぶ。

  • 荷月(2月)

他の月に比べて日数が少ないこの月。
しかしやらなくてはいけない仕事の量は変わらぬまま。
辛い、辛い、荷が重い。
よって荷月と呼ぶ。

  • 惨月(3月)

年度終わりが退職者も出る月。
今まで使わなかった有給を一挙に消化するという荒業。
残された者達はその穴をなんとか埋めなくてはならない。
その様子はまさに惨たらしい。
よって惨月と呼ぶ。

  • 死月(4月)

退職者で抜けた穴を埋めるは新入社員たち。
しかしいきなり役に立つはずも無く、惨たらしい以上の惨劇が押し寄せる。
その様子、まさに死月。

  • 誤月(5月)

連休連休、待ちに待った黄金週間。
家族サービスに翻弄されて疲弊した脳で発注ミス。
よって誤月と呼ぶ。

  • 炉躯月(6月)

祝日が一切ない悲しみにくわえ、ジメジメとした梅雨の気候が身体を蝕む。
まさに炉で体躯を焦がしていく様。
よって炉躯月と呼ぶ。

  • 名無月(7月)

周囲では夏休みだというのに、中小企業の一社員には休みなぞ無い。
子供にかまってあげる暇等ある筈も無く、失われてゆく子からの信頼と存在感。
ねえ、お父さんの名前って何だっけ。名前さえ忘れられる夏。
その様子、名無月。

  • 鉢月(8月)

出なかった賞与。滞る給与。しかし夏には金が掛かる。
冷房費、お中元、家族旅行。
托鉢にでも出るしかないような財政。
よって鉢月と呼ぶ。

  • 苦月(9月)

夏が終わり、その疲れが押し寄せるこの頃。
暑さ寒さの波状攻撃で衰えてゆく体力。
それこそ苦月。

  • 渋月(10月)

秋の空に流れる鰯雲を見て、ふと涙が頬を伝う。
自分は何処から来て何処へ行くのか?
あの西の空の向こうに自分を必要としてくれる世界があるのか?
つい感傷的になるのを季節のせいにして、渋い顔をする。
これからもこれまでも、渋月。

  • 銃射地月(11月)

秋の悲しさも癒えぬまま、寒い季節を迎える。
その寒さは季節のせいかそれとも。
凍てつく大気を切り裂く猟銃の咆哮、墜ちていく水鳥。
死に行く魂を見て、少し羨ましいと思う。
銃で撃たれて地を這いたい、今の自分から逃避できればなんでもいい。
そんな事を考えてしまう寒い季節、銃射地月。

  • 獣似月(12月)

何の為に働いて、何の為に生きるのか。
生きるために働くはずが、働くために生きている。
食って寝て働いて、働いて働いて働いて、
人間の尊厳とやらはとっくに無くなっていた。
畜生とどこが違うというのか?
その姿、獣似月。