2006-01-01から1年間の記事一覧

旅の終わり

手続きを済ませ、外の駐車場で積み込みを待つ。 同じように北の大地を走ってきた旅人たちの顔には 満足げな表情と寂しそうな感情が表れている。 ふと、長い旅路を共にしてきた相棒に目を落とす。 このバイクを買って数ヶ月しか経ってないはずなのに もっとず…

冷たい海

やけに車の流れが早い日高国道で一路南下する。 先ほどまで良かった天気だが、苫小牧が近づくに連れて 雲が多くなっていき、今すぐに降り出してもおかしくない。 北の大地が別れを惜しんでいるのだろうか。 日高の山の中を走りぬけ、ついに海が見える。 希望…

幾寅は南富良野なのか

苫小牧へ向かう道を外れ、かなやま湖畔を走る。 途中すれ違ったライダーが稚内で出会った白い250TR乗りの兄さん だったような気がしたが、この広大な北の大地で起こり得るのだろうか? しかし、そんな偶然を信じる純粋な気持ちにさせてくれるのも この広大な…

お別れは紫色

陰鬱な美瑛の空の下を抜け出すと周囲に光が戻ってきた。 北海道最終日、今日は良いコンディションで走れそうだ。 このままひたすら南下し、苫小牧まで行ってしまうとなると フェリーの出港まで時間を持て余す事になってしまう。 だから今日は幾つか寄り道を…

ゴリラが見たかったが、ゴリラは居ないらしい。

思ったほど大きな動物園では無かったが、 動物の見せ方が工夫されていると感じた。 特にオランウータンの鉄塔登り(?)は一見の価値がある。 但し、糞尿を引っ掛けられないように気を付けていただきたい。 肉食獣たちは暑さのせいかバテて寝てばかりであっ…

真の邪悪、それは旭山動物園手前の有料駐車場のことである。

昨日に引き続いて陰鬱な空模様である。 今日は旭山動物園に行こうと思っているのだが、 こんな天気では気が乗らない。 それに、TVから映し出されるテレ東系の番組が あまりにも面白い。 実際に出かけたのは昼前になってからの事であった。 旭山動物園に行く…

淡い丘

雨と泥にまみれた雨具をなんとか収納し、 美瑛名所のケンとメリーの木へ向かう。 紋別を早く出発してきた為、今日明日と泊まる宿がまだ空いてないのだ。 ケンメリの木とその周辺の景色はよくガイドブックに掲載されるだけあって 美しくあったのだが、如何せ…

崩情の雨

暗い暗いトンネルから光の元に引きずり出され…なかった。 空は更に厚い雲に覆われ、間もなく雨が降ってきたのだ。 急遽その辺のガード下に逃げ込み、こんな時の為に用意してあった 雨具を見に着ける。 これで雨には一応濡れないが、視界は悪いし路面は滑るし…

灰色の空

昨日までの晴天続きが嘘であったかのような 陰鬱な空の色である。 今日は美瑛まで走らなくてはならない訳だが、 間違いなく途中で雨が降るだろう。 少しでも早く出発し、少しでも長く距離を稼ぎ、 雨に濡れるのを少しでも減らさなくてはならない。 国道273号…

紋別の空

紋別が近づいてきたのだろうか、 街に入る頻度が多くなり、交通量も増えてきた。 海では無い方向に目をやると鉄橋らしき遺構が見える。 昔は紋別にも鉄道が走っていたのだ。 パトカーに止められている車やバイクを見た。 街に入ったところではよくネズミ捕り…

雄武の毛蟹

紋別へ向かう道の途中に雄武という街があり、 名産は毛蟹である。 前々から雄武の蟹を食べたいと思っていたこともあり、 ここの食堂で昼飯を食べる事にする。 頼んだのは毛蟹定食1500円、 大きめの毛蟹に味噌汁、エビが四匹と焼いたサクラマスの切り身、 と…

海を越えて辿り着いた風

日本の最果てまで到達したので、これ以上進む道は存在しない。 後は延々と南東の方角へ走る事となる。 オホーツク海を左に見て、どこまでもどこまでも一直線に走る。 ところどころ街中に入るが、それもあっという間に過ぎる。 海の向こうに何が見えるわけで…

地果てる三角

今日は一気に紋別まで走る事になる。 海沿いを延々と走るために道に迷う事は無いが、 長い距離と海からの強風に気を付けねばならない。 それにこのルートはネズミ捕りが多いと昨日聞いた。 そう気を引き締めて荷造りをしていると、 隣の部屋の250TR兄ちゃん…

夕闇迫る水平に

北海道の夕日は美しい。 そう思うのは俺だけでは無いはずだ。 緯度の違いか空気の綺麗さの違いか、何が原因かはわからないが 北海道の夕日は美しい。 無論、俺もそう思う一人である。 大したカメラも持っていないし、撮影技術は素人同然だが、 良い構図を狙…

聖地巡礼

オレが初めての一人旅で稚内に訪れたとき、 これからも旅人であろうと誓った地が抜海である。 日本最北端の無人駅である抜海駅は、幾多の年月を耐え抜いてきた 厳かな風格を持ち、尚且つ、北の大地を流離う旅人たちを 優しく迎えた気品に満ち溢れていた。 駅…

煌くイトウ

現在は無料で走れる豊富バイパスを使って稚内へ戻る。 このバイクで100km/h以上は出したくない…。 さっき見逃してしまった野寒布岬へと行き、 野寒布寒流水族館に入る。 この水族館は前に稚内へ来たときも見学したのだが、 展示魚の種類が面白く、しかも料…

煌く最北

刺すような朝日で目が覚める。 昨日セイコマで買っておいたパンで腹ごしらえをした後、 部屋の外に出てみる。 多くのライダーはもう出発したしており、 残ったライダーも荷造りをしていた。 オレは今日もここに滞在するので実にのんびりとしたものだ。 暇だ…

暗い黒い海の向こうの樺太の灯は届かなかった。

セイコーマートで食料を買い込み、今日と明日の宿へ向かう。 それにしても一泊2100円は安い。 窓を開けると、道路一本挟んですぐ海。 それも日本最果ての海! ここから数十キロで、もうロシアとは凄い。 塩焼きソバを食い終わると、辺り一面真っ暗になってき…

聖遷

豊富から数十キロ走り、小高い丘を越えると、民家やお店が現れる様になった。 ついに最果ての街に辿り着いたのだ。 初めての一人旅の場所として選んだ稚内。 それからオレは旅に目覚め、根室、長崎、鹿児島と色々な街に行った。 いわばオレの旅の聖地である…

サロベツに咲く アジアの花

二年前に訪れたサロベツ原野を再訪する事にした。 前に来たときは四月で、花など咲いている筈も無く、 ただ茶色い絨毯が地平の先まで敷き詰められているといった印象であったが、 今見るそれは違っていた。 生気溢れる緑が視界全てを多い、所々に黄色いユリ…

BLACK&WHITE乳牛

どこまでも真っ直ぐな道に、突き抜けるような青い空。 眼を脇に向けてみると、沢山の牧草ロールが転がっており、 何処からとも無く牛の鳴き声が聞こえる。 見渡す限り、自分以外の人間も車も存在しない。 こんな光景を体験した事がこれまであっただろうか? …

灼熱の大地と黒い駅ソバ

昨日通った夕張は厚着しないと寒かったが、 今走っている音威子府は暑くてたまらん。 なんでも、北海道の内陸部は夏に相当暑くなるらしい。 おまけに、緯度が高い地方特有の鋭い日差しが容赦なく照りつけてくださる。 道路に映った影も真っ黒だ。 しかしそん…

灰色の線と黒い蝶々

朝食として用意してあった巨大なパンを食いながら 「おはスタ」を見る。 なにこれ初めて見た、おもしれー。 北海道のTVは面白くてずっと見ていたいが、 今日は一気に稚内まで走らねばならないので自粛する。 チェックアウトを終えて駐車場へ、バイクを一目が…

黄金を抱いて飛べ

ホテルの部屋で着替えていると、 パンツにウンコが付いているのを発見した。 ウンコが付くのは実に十数年ぶりだ。 原因はフェリーのトイレである。 ウォシュレットを見ると条件反射で脱糞する本能があるオレは、 乾燥機能付きのウォシュレットを見て、有無を…

形あるもの 全て土に帰る

苫小牧の空は晴れ渡り、道も快適だ。 わりと早いペースで距離を稼げている。 今日の目的地は旭川であり、一番早いルートは道央自動車道 または国道234号線であるが、どちらも北海道らしくなくて面白く無い。 なので夕張を通る国道452号線を選ぶことにする。 …

北海道への第一歩

朝食を済まし、映画館で「シャーク・テイル」を見た後に ごろごろしていると、苫小牧下船準備の放送が入った。 車やバイクで乗船した人は車両甲板に下りて下船の準備をする。 荷物をバイクにくくり付け、周りのライダーと喋ったりしていると 車両積み込み口…

太平洋の夜明け

寝苦しさで目が覚めた。 B寝台の船室の空調は個人スペースの外にあるので、 カーテンを閉め切ってしまうと暑いらしい。 汗を流すために大浴場へ、いつでも入れるのは便利。 風呂からあがり時計を見ると午前四時過ぎ、 もうすぐ夜明けの時間だ。 せっかくだか…

タキノ海を越える編

基本的に、山形が晴れていれば宮城は雨、宮城が晴れなら山形は雨、 となるのだが、トンネルを抜けても天候は陰鬱な物であった。 雨が降る前に仙台港に着きたいものだ。 仙台市街に入るまでの道は快適そのものであったが、 市街に入った途端に渋滞していた。 …

タキノ山を越える編

仙台発苫小牧行きのフェリーの出港時刻は20:00、 車両を乗せる人の受付時刻は18:30までだったので午前中は余裕があった。 バイク屋でブレーキ調整をしてもらい、100円ショップで必要な物を買い足す。 家に戻り、荷物がきちんと載せられるか試してみる。 あま…

なんか届いたよ

id:She-la-feetaから何か手紙が届いていたよ! なんだこれあばばばば しかし食う!どうみても軽い嫌がらせです。 本当にありがとうございましたw