takino`s Midnight Run

滑走路、滑走路だ。
闇にうかぶ街の灯りたちが滑走路を想わせる。
がさつな排気音と呼吸の音だけが街に響き渡る。
加速、加速、加速ッ!!!
マシンは加速していく!
違う!加速しているのはこのオレだ!オレなんだ!
等間隔にならんだ街灯のオレンジが
遠くで光っている看板のイエローが
光の軌道を歪めてオレの脳髄に到達する。
歪んでいる!宇宙が歪んでいる!
違う!歪んでいるのはこのオレだ!オレなんだ!
もはや上か下かもわからない。
怖い、怖い、怖いッ!!!
しかし更に加速する!
停まってしまったら、この宇宙に落ちてしまう気がするから。
まだまだ更に加速する!
このスピードなら、恐怖心すら追いつけない気がするから。

大気を切り裂き、夜明けまで逃げ切ってみせる。