ンコシンチカラ

普段は10分以上掛かる排便を1分で済ましてバス停へ走る。
流石動体視力が強化されているバーサーク状態だけに
ウンコを見切るのも楽勝だぜ。
バス停でコーラを飲んでるとバスが来た。
ラッキー!運転手さんがオレ好みのいい男だぜ。
動体視力が強化されてるとバスを見切るのも以下略。
山形駅に着き、みどりの窓口へ走る。
「仙山もみじ号」は三両が指定席、残り三両が自由席だが、
オレは自由席は嫌いなので指定券が取れないと困るのだ。
「14時発の仙山もみじ号の指定席空いてますか!?」
「はい空いております。しかし自由席もありますが?」
「ボクはボクの居場所が欲しいんです!指定券ください!
あっ、窓際で」「は、はぁ…」
スムーズなやりとりで指定券GET。
運賃が1000円くらいなのに指定券が510円、確かに一般的
には指定券買わないよな…普通は。
五番ホームに降りると、奥新川で出会った583系が停車
していた。懐かしさで胸がいっぱいになる。
実はオレが物心ついてから初めて乗ったのがこの583系
なのだ。あれは8年ほど前、中学校で修学旅行へ行った時
の話だ。北海道へ行くにあたって、山形から青森まで
奥羽本線経由でこの583系に乗ったのだ。
恐らく8年前に乗ったのと同じ車両だろう。
胸はいっぱいになったが、腹はいっぱいで無かったので
立ち食いソバで月見ソバを一杯頼む。
うむ美味い、立ちソバこそ日本のファーストフードです。
14時が近づき、腹いっぱい胸いっぱいの状態で乗り込む、
うわぁ懐かしい!あの青いシート!8年前が昨日の事の
ようだ! トイレにも行ってみる、あれ?8年前はすごく
広いと思ってたのに…こんなものだったのか?
あぁオレも成長したんだなと感傷に浸る。


二、三回ほど大きく揺れ、仙山もみじ号は山形駅を出る、
見慣れぬ列車が走ってるせいか、街の人も驚いたふうに
こちらを見る。いつもと同じ車窓なはずなのにいつもと
違う車窓が繰り広げられるのが気持ちいい。
指定席はガラガラだったので一区画独り占めできる、
グリーン車並だね。
「仙山もみじ号」と名乗ってるだけあり紅葉も綺麗だった、
オレの座ってる窓際と反対側の窓際が。
山形を過ぎ作並を越え、仙台エリアに入る、
この辺に来ると仙山線は通勤列車へと役割を変えるのだ。
そういう事だけあって、愛子、国見、北仙台のホームには
学生やサラリーマンが多かった。普段見ている銀色の列車
では無く583系が来たのだからさぞかし驚いただろう。
しかもなぜかそれらの駅から人が乗ってきた、
いきなり見慣れぬ列車が来て、それに乗るとはなかなか
勇気がある連中だ。しかし指定席とは知らずに座って
車掌さんに注意されていたようだ。
「なんなんだこの電車わけわかんない」
「指定席なんて、新幹線かよ」
女どもはそういい残して自由席へと移って行った。
…心の底から「死ねアホ」と思った。
「この電車わけわかんない」って、わけわかんない電車に
乗ったお前のほうがワケわかんないって!
なんか仙台に近づいてから客層が変になったな。
仙台の女は馬鹿が多いのか?
流石仙台、不細工の名産地だぜ。


そんな約一時間半が過ぎ、仙台駅に到着。
そこは青森駅では無かったが、忘れていた8年前は
確かに取り返した。
ありがとう583系。ありがとう仙山線