根室が寒い夜は

わりと強めの雨が降り始め、
厚岸を過ぎた辺りから景色が見えなくなってきたので、
iPODで音楽を聴いてヒマをつぶす事にした。
本当に外は真っ暗だ、人が住んでいる臭いをほとんど感じない、
ここらで一人取り残されたら、恐怖以外の何者でもないなと思った。
花咲、東根室と停車し、ついに根室へと到着した。
雨に濡れた窓ガラスと、最果ての街の灯が旅情を誘う。
気動車から降りてしばし感傷に浸るが、改札口の駅員さんが
早く外に出てほしそうに私を見るので、すごすごと切符を見せて
改札を出た。
待合室のポスターを見ると「根室記念切符発売中!」とある。
JR北海道は商売がうまい、私の購買意欲をかきたててくれる。
すっかりとJRの商売にのせられて窓口に立つ、
若い駅員さんにお金を渡し、記念切符を買う。
ついでに明後日に乗る予定の「流氷特急オホーツクの風」の指定席変更を
お願いする。
オホーツクの風に使用されている「ノースレインボーエクスプレス」も
展望シートがあるとか聞いたので、そこに変更してもらおうと考えたのだ。
駅員さんは時刻表やら書類やら持ってきて、どの席が展望席か調べてくれたが
結局どこだかよくわからなかった。もちろん私もわからなかったので
「面倒かけて申し訳ありません」と謝って駅を出た。
一応それらしい番号では発券してくれたが、これが本当に展望席かどうかは
わからない、網走駅で聞く事にしよう。
駅を出ると、ひどく腹が減っている事に気付いた、
そういえば昼飯もろくに食べていない。
せっかくなので根室名物「エスカロップ」でも食べる事にしよう。
こういうこともあるかと思ってエスカロップの美味い店を事前に調べておいたのだ。
エスカロップとはバターライスの上に薄いトンカツをのせ、
ドミグラスソースをかけたものらしく、根室っ子はエスカと呼ぶ。
うむ、聞いただけでも美味そうだ。
15分ほど歩くと、エスカの店へ着いた。しかし店内は真っ暗だ、よく見ると
「臨時休業」と張り紙がされている、なんだよそれは。
しかたないので、こういうときのために事前に下調べをしておいた魚介類の
美味い店の場所に行ったが、こっちはすでに営業時間が終わっていた。
なんだよ、ガイドブックには21時まで営業って書いてあったはずだぞ、
今はまだ20時だというのに。
もうどうしようもないので、根室のコンビニ「タイエー」に行ってみる。
するとそこでは「やきとり弁当」なるものが売られていた、
む、これと同じようなものを函館で見たような気がするが…?
まぁそんな事は空腹の私にとってどうでもいいのでやきとり弁当を
注文する。注文を受けてから作り出すシステムなようで、出来るまでには
結構な時間がかかった。しかし出来立てのやきとり弁当はとても温かく、
その辺のコンビニ弁当とは比にならないほどの美味しさであった。
腹も膨れたので寝ることにする。
しかしやきとり弁当と一緒に買ったビールは失敗であった、頭がガンガンする。
いや、美味かったんだけどね。サッポロクラシック