ひたちの誘惑

つくば(嘘)

文句を言いつつも仙台へ到着、ここからいわき行き普通列車に乗り換える。
すぐに電車は来たのだが、なんとこれがオールロングシートだった。
これに三時間近く乗らなくてはいけないのかと思うと恐ろしい、
となりにスーパーひたちが来ていたら乗ってしまうところであった。
乗ってみると中はガラガラで、原ノ町で切り離される後ろ四両も
同程度の乗車率だったところを見ると、いわきまで乗りとおす人は
あんまりいなそうだ。
まぁだからと言ってヒマじゃなくなるわけでもないので、こんな事もあろうかと
持ってきた本「増補版・時刻表昭和史」(宮脇俊三先生著)を開く。
この本によると、昭和時代初期の普通列車は座れないのが当たり前、
しかも長時間ガマンしなくてはならないのも当たり前だったという。
そう考えてみると、このいわき行き普通列車は天国のように思えてくる。
我ながらいい時にいい本を持ってきたものだ。
全部読み終えて、少し経つといわきに到着した。
跨線橋を渡って向かい側のホームに走る、別に走らなくても間に合うのだが、
同じ電車から降りた乗客のうち三分の一くらいがオレと同じ電車に
乗り換えるつもりらしい、今度のはクロスシートだから絶対に
いい席を取ってやるのだ。
上野行き普通列車は結構混んでいたが、開いている区画を見つけたので
そこに座る、車両の端っこなのが気になるが、このさい贅沢は言えないだろう。
隣のホームにはスーパーひたちが停まっていたが、これに乗っても
30分くらいしか早く着かず、しかも4810円も取られてしまう、
そこまで酔狂な事も出来ないので見送る。
結構な混み具合で出発した上野行き普通列車、窓から景色を見渡せるのは
快適だ。
しかしながら、車両の端っこの席に座ったのは間違いだった。
これ以上無い位に揺れる、景色を見ようにも脳がかき回されていて
それどころじゃない。
iPODを聞こうにも列車の音がうるさすぎて聞こえやしない、
もう一冊持ってきた本も揺れで字が読めない。
ちょっと気分が悪くなりながらも土浦へ到着、長い旅であった。
ここから関東鉄道のバスに乗ってつくばへ、イクポid:Genesisから
聞いておいた行き先のバスに乗る。
数十分ほど走るとつくばの街に入った、それにしてもつくばは面白い、
悪夢のようなセンスの建造物や怪しい研究所がいっぱいだ。
軍艦島」と揶揄されるのも頷ける。
バスは筑波大学の敷地へ入って行き、森の中っぽい停留所「平砂学生宿舎前」
で降りると、出迎えに来てくれたイクポと七ヶ月ぶりの再会を果たしたのであった。
(以下次号)