旅の終わり

手続きを済ませ、外の駐車場で積み込みを待つ。
同じように北の大地を走ってきた旅人たちの顔には
満足げな表情と寂しそうな感情が表れている。
ふと、長い旅路を共にしてきた相棒に目を落とす。
このバイクを買って数ヶ月しか経ってないはずなのに
もっとずっと前から一緒だった気がする。
そして、この旅を通して更にお互いを分かり合えたような気がする。
その相棒のエンジン周りは泥にまみれ、
ライトには虫の死骸がこびり付いていた。
これは旅をしてきた証であり、勲章なのではないだろうか。
バイクの積み込みが開始されるとほぼ同時に雨が降りだした。
濡れるのを運良く回避し、船内で車体を固定する。
船室に荷物を持って行き、出港時刻を待つ。
出港時刻が近づいたのでデッキに出ると、雨はそれほどでも無いが
風は割りと強かった。
フェリー「きたかみ」は汽笛を灰色の空の下に響かせ、岸壁から離れる。
離れていく北の大地を眺め、絶対にまた来ようと心に思う。
オレの北海道ツーリングは終わりを意味するのか?
否、始まりなのだ。