イコンデルタ12

あいつが最後に言い残した言葉が思い出せない。
抽象的でありながら具体的
具体的でありながら抽象的に聞こえたあの言葉、なんだっけ?
あいつの足跡を辿れば思い出せるのかもしれない。
すき家、尻屋崎、ブックオフ伊豆高原紋別の夜、西蔵王エコーラインの自販機…

あぁ思い出した。
特急北斗に乗り込む前に言ったあいつの言葉。
ホームを揺るがすディーゼル音にかき消されそうになりながら必死に伝えたかった言葉。
「一つだけ言っておく!メールに絵文字を使う男にはなるな」
「あ、あとイカ飯は駅弁にしちゃ食いにくいと思う」

一つじゃねーじゃないか。