海を越えて辿り着いた風

日本の最果てまで到達したので、これ以上進む道は存在しない。
後は延々と南東の方角へ走る事となる。
オホーツク海を左に見て、どこまでもどこまでも一直線に走る。
ところどころ街中に入るが、それもあっという間に過ぎる。
海の向こうに何が見えるわけでもなく、
道路の先にも何も見えない。
目的の場所がこの道の向こうにあると知っていなかったら、
目的の場所にいつかは辿り着けると信じられなかったら、
脅えて走るのをやめてしまうのではないかと感じてしまう。
風力発電のために道脇に建てられている巨大な風車群、
その羽が回るたびに軋む音が、不安に駆られている旅人たち
の心をも軋ませるのだ。